航空工学科トピックス

『量子をめぐる現代科学の最前線』統合実施報告

2020-09-07

 『量子をめぐる現代科学の最前線』統合実施報告

航空工学科/社会・地域連携センター   

 『量子をめぐる現代科学の最前線』と題した一連の公開講座(かごしま県民大学中央センター主催の「かごしま県民大学とことんまなぶー講座」)が終了しました。これまで1回ごとに実施報告をしてきましたが、最後に各回のつながりや全体像をまとめたいと思います。

 

 私たちが日常的に経験できるマクロの世界は、経験によって培われた感覚と概念によって把握することができます。しかしミクロの領域にまで進むと、自然は思いもよらない様相を見せ始め、わたしたちの日常的な経験と矛盾した世界が広がっていることが二十世紀になって明らかになりました。このミクロの自然法則を理論としてまとめたのが「量子力学」です。
 しかし、マクロの物体はすべてミクロの粒子からできているのですから、もとをたどれば、自然界の根源的な法則、すなわち「基本法則」は、ミクロの法則です。このような思想に基づいて、「場の量子論」を用いて重力以外の基本法則をまとめたのが素粒子物理学です。
 さらに、重力も含めたすべての基本法則を統合することを目指して「超弦理論」などが研究されています。これが、“理論面”における現代物理学の最前線といえるでしょう。このような量子重力理論が得られれば、ブラックホールの中心部や 宇宙創成 の瞬間など、極限状態を理論的に解明できるかもしれません。
一方、ミクロの量子的な性質を積極的に利用して、これまでにない高速計算を行おうとする「量子コンピュータ」や原理的に盗聴できない「量子暗号」を実用化する研究などは、“実用面”における現代物理学の最前線といえるでしょう。
 また、量子重力やブラックホールの研究で、 量子コンピュータの量子誤り訂正理論 が非常に重要な役割を果たすことがわかってきているなど、近年、理論面と実用面の研究が融合してきているのも、興味深いことです。

 

 今回の講座では、このような背景を踏まえて、さまざまな切り口から、量子力学的世界を描いてみました。当初は 5回の計画 が、県下の新型コロナの感染状況をにらみながら3回しか実施できず、企画は不完全燃焼だったかもしれませんが、また別の機会に、新たな試みを考えたいと思います。

(航空工学部 古川 靖)

 

「かごしま県民大学とことんまなぶー講座」@かごしま県民交流センター

 

 

↑ページのトップへ